プラスチックってなに?

プラスチックってなに?

普段使っている「プラスチック」という言葉は、実は定義がはっきりしていません。ちょっと難しいかもしれませんが、「プラスチック」はどういうものか、解説します。

プラスチックとは、ひとことでいうと何でしょう

いくつか定義はあるのですが、定義が難しかったり、定義があいまいだったりして、ひとことで言うのは結構難しいのです。例えば、JIS(日本産業規格)の定義は「必須の構成成分として高重合体を含みかつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料」となっていますが、この定義は一般の方には難しいと思いますし、イメージもしにくいでしょう。JISは専門性のある学術界や企業の方々が利用する規格なので、やむを得ない部分もあるかと思います。

プラスチック業界では「主に石油に由来する高分子物質(主に合成樹脂)を主原料とした可塑性の物質」といった定義としているケースが多いように思えます。しかし、「主に」という注釈付きではありますが、最近は植物由来原料を使用したバイオマスプラスチックの利用が進んでいますし、また実際には合成樹脂(化学反応を利用し製造した樹脂)ではなく天然樹脂(自然界に元から存在する樹脂)もあります。

JIS(日本産業規格)の定義

必須の構成成分として高重合体を含みかつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料

プラスチックの語源は何でしょう

どうやらギリシャ語の形容詞“plastikos”が語源である、というのが定説になっており、意味は「可塑性(かそせい)のある」です。可塑性とは、「固体に力を加えて変形させ、力を取り去っても元に戻らない性質」です。代表的なプラスチックである熱可塑性樹脂は、熱を加えることにより液状化もしくは軟化させ、冷却することによって固まって変形後の形状を保つ性質を持っています。英語では“Thermoplastic resin”と言い、この言葉からプラスチックという言い方が広がった可能性があります。

もう一つ、プラスチックには熱硬化性樹脂というものがあります。こちらは主に液状の原料を加熱することにより硬化させ、形をつくるものです。大きな違いは、熱可塑性樹脂は加熱すると液状に戻りますが、熱硬化性樹脂は一度固化すると二度と液状には戻らないことです。熱可塑性樹脂をチョコレート、熱硬化性樹脂をビスケットに例えることがあります。
ちなみに熱硬化性樹脂は英語では“thermosetting resin”と言い、“plastic”の文字はありません。一般的には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方をプラスチックと言うことが多いのですが、まれに熱可塑性樹脂のみをプラスチックという場合もあるようです。

熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂

高分子物質とは何でしょう

やや専門的な話になってしまいますが、プラスチックは炭素原子、水素原子などからできており、高分子物質とはその炭素原子などがたくさん繋がった状態のものをいいます。こちらも定義がややあいまいなのですが、分子量が10,000以上のもの、あるいは炭素原子が1,000個以上つながったものを高分子と言うのが一般的なようです。ちなみにプラスチックは炭素原子や水素原子などで構成されているものなので、燃えやすさ、燃えにくさの違いはあるものの基本的には燃やすことが可能で、燃やした時には二酸化炭素や水が生成します。

まとめ

いろいろな意見を取り入れると、プラスチックとは「主に石油や植物由来原料により作られる合成樹脂に代表される高分子物質で、熱などを利用することにより形状を付与できる固形の物質」(一部例外あり)というのが、100点満点ではないものの、合格点は取れる言い方ではないかと思います。