プラスチックに関するQ&A | 日本プラスチック工業連盟

訪問者別INDEX プラスチックに関するQ&A

私たちの身のまわりのどこを見てもプラスチックが使われているといって過言でないほどに、プラスチックは今や日常生活と切り離して考えられないものとなりました。それだけにプラスチックについて気になるあれこれが沢山あるのではないかと思います。
当連盟では、これまでに皆様から頂いたご質問のうち、代表的なものを集めて、「プラスチックに関するQ&A」としてまとめてみました。一般的なケースについての回答例になっていますので、個々のケ―スについては当連盟までお問い合わせください。

よくあるご質問

食品とプラスチック容器・食器

プラスチック容器に塩・しょう油・お酒などを長時間入れても大丈夫でしょうか。

食品用の容器はしょう油・塩やお酒などと長時間接触しても、容器から食品への溶出は安全であることを確認した材質を使用していますから安心です。
ただし、ポリスチレン(スチロール樹脂)やメタクリル樹脂(アクリル樹脂)の容器に酒、アルコール類を保存することは、味に変化をきたしますので、さけましょう。

プラスチック容器に梅干しを入れても大丈夫でしょうか。

梅干しがすっぱいから感覚的にプラスチック容器に入れると、プラスチックが変化するのではないかと心配する人が多いようです。しかし食品の酸ぐらいではプラスチックは大丈夫です。安心してご利用ください。

プラスチック容器に食品を入れておいたら、容器が変色してしまいました。大丈夫でしょうか。
逆に容器の色が食品に移る心配はありませんか。

木樽に食品の色がしみ込むことがあるように、プラスチック製の容器にも、食品の色がつくことがあります。
また、長時間の使用により、紫外線の影響などで色があせたり変色することがありますが、何れの場合も衛生面では心配いりません。
漬け物容器や密封容器には、ポリエチレンやポリプロピレンが多く使用されていますが、規格基準に合格した容器から色が溶出することはありません。

プラスチック製の漬物樽でぬかみそをつけたら、変なにおいがしましたが、大丈夫でしょうか。

漬け物用の容器にはポリエチレンが使用されており、容器自体から臭気の出ることはありません。
この場合のにおいは、かき回すことを怠ったため、臭気を発生する菌が醸成され、酢酸エチル臭が強くなったものと考えられます。
もともとぬかみそは、かき回すのを怠ると木の樽でもくさくなるものですが、プラスチック製の容器は木に比べて通気性がなく、より一層、かき回す必要があります。

ある食品の入っていたプラスチック容器に他の食品をいれても大丈夫ですか。

プラスチック容器は、その中に入れる内容物によって、いろいろな材質が使い分けられています。プラスチックは一般に酸やアルカリに強いものですが、中には油やアルコールで膨潤したりひび割れを起こすものがありますので、できるだけ転用はしないで下さい。
他の食品が入っていた容器を液体、特に油やアルコール類の容器として使用しないで下さい。砂糖のケースに塩を入れたりすることは大丈夫です。

プラスチック容器の取扱い

プラスチック容器を冷凍庫で使用しても大丈夫でしょうか。

プラスチック製容器のうちでポリプロピレン製のものは冷凍下では衝撃に対してもろくなりますので、ひび割れすることがあります。また、密封容器はフタと本体とは材質が異なるものがあり、ぴったりしなくなることがあります。いずれも品質表示と使用方法を確かめてご使用下さい。

プラスチック製の台所・食卓用品の煮沸消毒は可能ですか。

物理的には、その製品の耐熱温度が100℃以上をこえていれば煮沸に耐え、それ以下なら変形その他の恐れがあるといえます。品質表示の耐熱温度にまず確認してください。
また、食器のJIS製品には耐熱温度の表示の外に「煮沸しても変化しない」、「煮沸すると変化するが沸騰水を入れても変化しない」という表示のものもあります。

メラミン樹脂製の食器は、古くなるとホルマリンが溶出しやすいと聞きましたが、
学校給食器は安全でしょうか。

使用して古くなった食器でも、ホルムアルデヒドの溶出量が増えるということはありません。
国では、メラミン樹脂製の食器を安全に使用できるよう、食品衛生法によって規格基準(4ppm以下)を定めていますが、業界では、更に自主規制基準を設けてメラミン食器の安定した品質確保のために品質管理を徹底しており、メラミン食器から溶出するホルムアルデヒドの量は、食品衛生法に定められている基準値の約1/10以下であり、安全性に問題はありません。

プラスチック容器(食器)の耐用年数はどのくらいですか。

一般的にプラスチックに耐用年数はありません。ただし、長期間使用すると黄ばんだり、内容物の色の一部が移ったり、逆に色のついた容器は色があせることがあります。
また、プラスチックは金属ほど表面が硬くないので傷がつきやすいのですが、いずれの場合も衛生面では心配ありません。
なお、直射日光に長時間当てると脆くなります。使用条件によって変わるので一律に耐用年数を決めることはできません。しかし、長期間使用しますと見映えが悪くなりますので、適当な時期に買い換えていただいたほうが良いと思います。

プラスチック冷水筒に熱いお茶を入れてもいいでしょうか。

冷蔵庫用の水筒には高密度ポリエチレンやポリプロピレンの外にメタクリル樹脂やスチロール樹脂、塩化ビニル樹脂などで作られた製品があります。品質表示の耐熱温度を確かめて、表示温度が100℃以下のものに熱いお茶を入れるのは避けてください。

プラスチック製の水筒ににおいのするものがありますが大丈夫でしょうか。

においというのは、ある物質から出る気体で、一般的に空気中に空気の重さの三百億分の一以上の気体があれば、人間はにおいとして感じることができると言われております。
プラスチック食品容器のにおいは、まったく害のないものですが、品物を選ぶときはフタを取ってにおいのないものを選ぶのも、良質なプラスチック製品を選ぶ一つの基準といえます。

食品の調理とプラスチック

電子レンジにプラスチック製品を使用する場合の注意事項を説明してください。

電子レンジは食品にマイクロ波をあて、食品中の水の分子を急激に揺さぶりそのとき生ずる摩擦熱で食品を内部から加熱します。プラスチックを食品の容器や包装に使用する場合、ほとんどの容器はマイクロ波により変質することや加熱されることはありませんが、食品全体が加熱されるとその熱が伝わるので容器も加熱されることになります。ですから容器の温度は中の食品の温度に従うわけです。食品中に水分が多い場合には100℃前後までしか上がりません。しかし油性の食品はかなり高温になり、部分的には100℃を大きくこえることもあります。プラスチックには沢山の種類があり、その耐熱温度はまちまちですので、簡単に説明することはできません。
電子レンジに使用できるプラスチック製品には、たいてい刻印またはラベルあるいは箱にその旨表示してありますので、このような表示のある製品を使用してください。

レトルト食品容器の安全性はどうなっているのですか。

レトルト食品というのは容器に調理済みの即品を充填し、高温高圧下で加圧加熱殺菌して製品とする食品のことであり、その容器・包装材については厚生労働省によって厳しい規制が設けられています。すなわち真空気密性、ヒートシール性、加熱殺菌適性、高バリヤー性や長期保存性など、性能面でも安全性の面でも保証されるようになっています。

パックごと熱湯で温めるカレーやシチューがありますが、プラスチックが溶けるのではありませんか。

完全調理済みの各種インスタント食品はお湯で温めるだけですぐに食べられます。その包装に使われているパックなどは主に内装がポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、外装は耐熱性のあるフィルムが使用され、その間にアルミ箔がはさまっているものがあります。それぞれの欠点を補っていて、120℃までの高温殺菌に耐えられるようになっていますから衛生上の問題がないのはは勿論、沸騰しているお湯の中に入れても、パックがとけるようなことはありません。

プラスチック製おろし器は安全でしょうか。

プラスチックの「おろし器」にはポリスチレン(スチロール樹脂)製、AS樹脂製、メタクリル樹脂(アクリル樹脂)製、ポリカーボネート製のものがありますが、衛生面での安全性についてはいずれも問題ありません。ただし、ポリスチレン製の「おろし器」はレモンなど柑橘類に使用すると、皮に含まれているテルペン油に侵されます。品質表示を確かめて「レモンしぼり器」はAS樹脂、メタクリル樹脂またはポリカーボネートのものをお選びください。

プラスチック製まな板にも細菌が繁殖することがありますか。

プラスチック製まな板の材料は、通常ポリエチレンですが、ポリエチレンをはじめプラスチックは一般に吸水性はほとんどなく、木製のものに比べて細菌などが繁殖しにくい材料といえます。従って、都道府県によっては業務用に使用するまな板には、衛生的であることにより、プラスチック製のまな板が推奨されています。
ただ、プラスチック製のまな板でも使用しているうちに細かい切り傷ができて、そこに食物や水分が溜まり洗浄が不十分で清潔に保管されていないとまれに霊菌が発生し、霊菌の出す生成物でまな板がピンク色に染まることがあります。まな板は清潔に取り扱いたいものです。

ポリ袋・ラップフィルム

家庭用ラップフィルムの使用上の注意を教えてください。

ラップは熱に弱いので(一番耐熱性の高いラップも140℃)、火のそばに置くとくっついたり、縮んだりして箱から出しにくくなります。また、油性の強い食品を電子レンジで加熱する場合は、底の深い器に入れて食品にラップが直接触れないようにし、あくまでカバーとして使ってください。また、ラップは一度水で洗うと密着性がなくなります。

ラップフィルムを冷凍庫で使用しても大丈夫でしょうか。

家庭用の冷凍庫は-20℃程度です。一方ラップフィルムの耐冷温度はどの種類のラップフィルムでも-60℃程度ですので冷凍庫で使用できます。
但し、冷凍庫ではラップフィルムの密着性が低下しますので、大きめに切って包んで使用してください。

ポリ袋に裸の食品を入れることがありますが、不衛生ではないでしょうか。

食品用として販売されているポリエチレンの袋は食品を直接入れることを前提とし、食品衛生法による規格基準に適合するように製造されています。従って、直接裸の食品を入れても食品衛生上の問題はありません。但し、ごみ袋用として売られているもののなかには、再生原料や規格外の顔料を使っているものもありますので、裸の食品を入れることは避けてください。

ポリ袋やラップの切れ端を誤って食べてしまうことがあるかと思いますが、大丈夫でしょうか。

ポリ袋やラップの材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどですが、これらは他の一般のプラスチックと同様化学的には不活性で、仮に誤って切れ端を食べたとしても体内で化学的な変化は生じず、また消化もされずにそのまま体外に排出されます。なお、これらのプラスチック材料の毒性については、さまざまな動物実験で何ら異常が認められなかったことが確認されています。

スーパーや小売店で売っているポリ袋は用途が明記してありませんが、
ごみ袋なのか、食品用なのかどちらでしょうか。

一般的に無色のポリ袋は食品用、黒・青色のポリ袋は、主としてごみ袋用として売られています。ごみ袋用に作られたポリ袋は食品用にお使いにならないほうが安全です。

発泡ポリスチレン

発泡ポリスチレン(発泡スチロール)のトレーに熱い食品を入れても大丈夫でしょうか。

トレーに揚げたてのてんぷらやコロッケ、トンカツ、焼きたてのハンバーグやたこ焼きなどを載せると、トレーが変形したり穴があいたりすることがあります。このような使い方をされる場合は揚げてから少し時間を置いて載せてください。
また、油性の食品をトレーにパックして電子レンジで加熱しますと変形したりすることがあります。プラスチック・トレーの材質によっては大丈夫なものもありますが、原則としておやめください。発泡ポリスチレンの耐熱温度は70~90℃です。

インスタントラーメンのカップは熱湯を入れても大丈夫ですか。

インスタントラーメンのカップは、保温性、断熱性、軽量性などを必要とするため、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)製のものが最も多く使われています。発泡ポリスチレン製のカップは、めんやスープが油性食品であり、熱湯を注いで調理されるため、食品安全法では使用条件に合った厳しい規格基準を定めて安全性を確保しています。
また、容器は衛生上の安全性はもちろんのこと物理的な安全性も十分に考慮されていますが、断熱性がよいため、外からさわっても熱くないので、力加減のわからない幼児が力一杯にぎると容器が破れて火傷することがあります。幼児には熱湯を入れたカップを持たせないでください。

プラスチックは油に弱いと聞きましたが。

ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)などは油にも強いのですが、ポリスチレン(スチロール樹脂)はレモンなど柑橘類の皮に含まれるテルペン油に侵されることが知られています。このようにポリスチレンは、鉱物油や植物油に弱い性質を持っています。ポリスチレン製の容器にバターや食用油などを長時間入れておくと、ひび割れを生じることがあります。

灯油かん

灯油かんの安全性について教えてください。

プラスチックの灯油かんは、ほとんどがポリエチレンでできています。灯油は、一年以上ポリエチレンの容器に入れておきますと、油そのものが変質してしまいます。特に白いポリエチレンかんの場合、光(紫外線)が中の灯油の質を変えてしまうと言われています。 従って、灯油はシーズン中に使い切ってしまうことが理想的です。
もし、次シーズンにまで持ち越す場合は次のようなことに注意してください。

1) 推奨認定マークのある灯油かんで、栓をして保管してください。
2) 直射日光のあたらない場所で保管してください。
3) 注ぎ口のパッキンが老化していないか、確かめてからしっかりとしめてください。
4) 灯油かんの上に物を乗せないで下さい。

灯油かんは灯油という危険物を家庭内で保管するものですから、安全を期すため規格が厳しく定められています。また、灯油かんは容量だけでなく、形状、色、肉厚等いろいろな規格があり、すべての検査に合格した製品にのみ推奨認定マークがついています。お買い求めの際にはこのマークを確認してください。 灯油かんそのものも光(紫外線)で徐々に劣化してもろくなりますので、安全性の面から5年を目途に新しいものと交換することをお勧めします。

灯油かんに灯油以外のもの(例えば飲料水など)を入れても大丈夫でしょうか。

灯油かんは灯油を変質させずに、安全に保管するために作られており、他のものを入れるようには作られていません。 機能的には飲料水を入れても大丈夫ですが、長時間入れておくと異臭、異味がつき飲めなくなることもあります。
また、灯油かんに他のものを入れることは誤用の原因となります。とくにガソリンなどをいれますと他の人がそれを知らずに、石油ストーブに給油する恐れもあり大事故の原因となりますので、転用は絶対に避けてください。